『野菜のおいしさランキング』=山内式・野菜品質評価法=
山内外茂男・小林彰一共著
晩聲社発行 1,500円(税別)
<野菜のおいしさってなんだろう>
野菜のおいしさってなんだろう。糖度でおいしさが測れる果実や、果物に近い野菜なら、糖度(甘み)の程度や酸味とのバランスで、おいしいかどうかが判断できる。もちろん、おいしいと感じるかどうかは、常に個人の好みの問題がついてまわるが、多くの人がおいしいと判断する基準のようなものは確かにある。果物関係で言えば、糖度で11度というのがその分岐点だといわれる。
しかし野菜類についてのおいしさとはなんなのか。トマトやトウモロコシ、カボチャなどは、果実同様に糖度で計測できる品目であるが、ではダイコンとかホウレン草のおいしさ、はどう感じたらいいのだろう。
<主婦の関心は「いま、美味しい野菜はどれ?」>
そこで、ちょっと待った!というのが、山内外茂男氏である。そんな大義名分より、主婦は「おいしい野菜」を求めるときどうするか、を知るべきだという。野菜は、品種や作型ごとにどの季節がいちばんおいしい、という定石がある。品種特性からみて、いちばん優れた内容品質になる時期(それを「旬」という)がある。
が、主婦は1年、365日買い物に出る。おいしい季節があることは知っていても、彼女の関心事は、「でも、今日おいしい野菜はどれ?どこに行ったら買える?」であるはずだ…。そんな、市井の普通の主婦の感覚、発想から生まれたのが、「山内式・野菜品質評価法」である。
<これこそ「山内式」野菜評価法だ!>
いうまでもないが、そんな発想をした業界人はこれまで存在しなかった。しなかったゆえに、山内氏のその思いと実践が、多くの人の共感と驚愕と、喝采を獲得したのだ。農学の権威のひとり、長谷川和久教授が、「これを〝山内式?品質評価法と命名して、なんら恥じることはない」と絶賛したことでも、それが知れようというものだ。
山内氏は、1998年からこれまで8年にわたり、野菜の「おいしさ評価」を2万点こなした。その成果が本書の真髄である。野菜の絶対評価というだれも触れなかった、否、触れられなかった分野に、研究者でも学者でもない山内氏が、ひたすら自己の信念のみをよりどころに、果敢にしかも営々、淡々と取り組んできた。継続はまさに力であり、説得力である・・・・。